私たちはどうしてひとり旅をするんだろう?
ひとり旅は、自分の慣れ親しんだ環境からはなれることで、自分自身が成長できたり、広い世界を知ることができるもの。
Pinkoiで働く仲間たちは、楽しみながら物事を突きつめたり、勇気を出して新しいことに挑戦したりする人がたくさん。そんな仲間の中から、ひとり旅経験のある4名の女性を連載形式でご紹介。ひとり旅経験のある人もない人も、彼女たちの話に刺激を受けたり、あたたかい気持ちになるはず。
人生は長くも短くもない。自分のストーリーは自分で作っていかないと
—台湾人グラフィック—デザイナー 小亀(シャオグェイ)のお話
ー 今まで一人旅をした国や都市は?
タイのバンコク。何年か前にはワーキングホリデーで日本へ行って、各地を転々としたこともあります。台湾だと花蓮と台南で、台湾東部の青い空と海が特に好きです。
ー 一人旅を選んだ理由は?
私の性格だと思います。人付き合いがあまり得意ではないので(笑)どうしても完全に自分だけの時間がほしくなってしまうんです。でも一人旅をしようと決めた一番の理由はすごく単純。まだ行ったことのない場所に行って、見たことのない景色が見たいから。人生は長くも短くもないから、自分のストーリーは自分で作っていかないと。
ー 忘れられない旅行の思い出は?
①北海道での出会い
一人で時間を過ごすことこそが一人旅ですが、旅の途中であたたかい気持ちにさせてくれるのは、いつも旅先で出会う人たちです。
ワーキングホリデーで北海道にいたとき、この小さなバイクでいろいろなところを周っていました。ある日、小さな麦畑から吹く風を受けながら富良野に向かっていると、通り道に「六花亭」という喫茶店を見つけたので、休憩がてらに寄ってみることに。デザートを頼んで席に着くと、すぐに頼んだものが運ばれてきました。
それと同時に右後ろから、「コーヒーもサービスでお出ししますよ」と言う女性の声がしたんです。私が驚いたのが分かったのか、その店員さんは夫と自分も旅行が好きで、私のような一人旅の人をよく見かけるということを話してくれました。それからコーヒーを淹れてくれて少し世間話をしたのですが、それは長旅で疲れていた私にとって、とても心あたたまる時間でした。
▲ 北海道・美瑛にあった哲学の木。観光客の増加によるマナー違反が深刻化したことで、残念ながら今はなくなってしまったそうです。
▲ 六花亭のまわりは広いブドウ畑になっています。六花亭はチェーン店ですが、ここにはほかの店舗では食べられないブドウのソフトクリームがあるので、訪れたときはぜひ食べてみてくださいね。
▲ 前に散歩をしているときに出会ったアライグマの三兄弟! はじめて野生のアライグマを見たので、うれしすぎて何度もシャッターを切ってしまいました。
② バンコクで感じた人のやさしさ
▲ 昔なつかしい雰囲気のお店ですが、料理の味はバツグン! 食べることが大好きな私の予想では、このお肉はきっと豚肉なはず。本当にとってもやわらかいお肉でした~(お腹すいてきた…)
私はタイ語が話せないので、タイでご飯を食べるときはいつも簡単な英語と指さしで注文していました。でもある時、昔なつかしい雰囲気のお店に入ってみると、英語のメニューがなく、お店の女の子も英語があまり得意ではないようでした。
その時私がかなり汗をかいていたせいか、その店員さんはメニューの写真を指さして、タイのドリンクを勧めてくれました。それでも私がクエスチョンマークでいっぱいの表情で見つめていると、にっこり笑って、隣にいたお客さんに英語で私に何のドリンクか説明してくれるよう頼んでくれたんです。
その説明は聞き取れなかったのですが(使える英語をちゃんと勉強しておけばよかった)、店員さんのやさしい笑顔にうながされて、そのドリンクを頼んでみようと決めました。うん、その味は…きっとレモングラスだったはず!
▲ 焼けつくような太陽の下を1日歩いて、冷気を求めてやってきたのは、バンコクにあるレストラン「Thammada」
▲ バンコクに行くときには必ず持っていくMr. Pは、私の10年来の相棒。今回は、はなればなれになって久しい兄弟たちに会いにきました!
ー 女性の一人旅でよかったことは?
1. 誰にも気をつかわなくていいこと(笑)
▲ バンコク旅行時、宿泊先の屋上に小さなカウンターがありました。到着した日は特に予定もなかったので、ここでひと息ついて旅行の記録をつけました。
一人旅をしているときは、その時自分が必要としていることをしっかり見極めるのが大切。それから、無理に人に合わせようとしないで、自分のペースで過ごすこと。時間は気にせずに疲れたら休む。お腹がすいたら何か食べる。1日宿でゴロゴロしたくなったら、部屋の隅っこに落ち着くところを見つけて、絵を描いて過ごすのもアリ!
2. 人にどう思われるかを気にしなくなる
日々生活していると、周りの人や、時には自分でさえ、気づかないうちにだんだんと自分はこういう人だというイメージを作っていってしまいます。でも一人で旅行をしているときは、周りはみんな知らない人ばかり。人の目を気にすることも少なくなって、自然とそうしたベールがはがれていきます。そうすると肩の荷が下りて、いつもより晴れやかな気持ちで自分らしく生きられるようになってきます。
3. 自分の力で生きることを学ぶ
▲ とある市場で見つけた言葉(あなたは自分が思うよりも強い人だ)が胸に響きました。
旅行中にあれこれ焦らないように、出発前に泊まる場所や交通手段、その日の予定を決めておくことは、私にとってすごく大事なことです。旅行の計画を立てていると、「自分が求めているものは何なのか」がハッキリしてきます。それは自分の気持ちに関することだったり、物だったりといろいろです。
旅行の間は頼れる人は誰もいないし、何が起きても自分で対処しなくちゃいけないから、自分が思っていたよりも一人でやっていけるんだと気づくことがあります。前はできないと思っていたことも、過ぎてしまえば小さなことだったと感じるものです。
ー 女性のひとり旅について世間が誤解していると思うことは?
「一人は危ない!」私が一番よく聞く言葉ですが、危険なのは「一人だから」ではなく、旅行する本人が旅先の文化や地理に詳しくないことが原因だと思います。私たち外国人の立場では、旅行先の治安などを把握し切ることはできません。ですが、今まで行ったことがある人の話を聴いたり、インターネットで情報を集めたりして、できるだけ危険にさらされる可能性を低くすることはできるはずです。そうしたリスクを回避してはじめて、旅は続けていけるものではないでしょうか。
ー 一ひとり旅が未経験の女性に伝えたいことは?
少し考えてみてください。あなたは一人で学校や職場に通ったり、ときどき街中をぶらぶらしたり、ご飯を食べに行ったりしませんか? もしそうなら、ひとり旅に挑戦しないのはなぜでしょう?
一人で海外に行くのが怖いという人は、まず国内からはじめてみましょう! 自分一人でいると、いつもよりおだやかな気持ちで周りを見ることができて、今まで気づかなかった美しい景色に気づくかもしれません。旅の間に話し相手がいないことが心配な人は、読みたい本を一冊持っていってみて。自分の写真を残せないんじゃないかと不安な人は、自撮り用のカメラを持っていけば大丈夫。
ー 小亀が教える女性ひとり旅のマメ知識
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安全第一:
外国で一番心配なのは、目的地がどこにあるのかわからないこと。タクシーや個人でやっている交通手段を使うときは、グーグルマップを準備して、現在地を確認することが大切です。個人でやっている交通手段を使っていてなにか不安に思うことがあれば、目的地を変えてみるのもひとつの手。
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荷物はなるべく少なく:
女の子はどうしてもスキンケア用品などの荷物がかさばりがちになりますが、自分の体力を考えるのを忘れないで。旅行がはじまってすぐに疲れ切ってしまったら、元も子もなくなってしまいます。
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ビニールポーチとS字フックで荷物を整理:
かわいい布製のポーチと比べると、ビニールポーチは軽くて使い勝手がいい上に、ひと目で中に入っているものがわかるので、細かい持ちものを整理するときに便利。また、一人でお手洗いに行くときなど、荷物を見ていてくれる人がいないときにはS字フックが大活躍します。
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平成最後の夏…
少し日常から離れた場所に一人で訪れてみたい。Pinkoiスタッフ小亀の体験談を読んでそう感じました。あなたは今年の夏はどこにでかけますか?
原文「我決定獨自旅行!」4 位 Pinkoi 女孩的獨旅故事
抄訳・テキスト:今井 里沙
編集:東 洋子