Pinkoiで6年間働く、ブランドコンサルタントのソフィー。
Pinkoiは海外通販サイトとして、台湾・香港・中国・タイなどアジアのデザイナーが出店している他、日本のデザイナーも多く出店しています。Pinkoi本社のある台湾では、日本デザイナーの商品も人気アイテムの一つ。
いまでは多くの台湾人ユーザーがPinkoiを通して日本のデザイン商品に出会っていますが、その礎を築いたのが、ソフィーなんです。台湾市場に向けて、日本デザインの良さを伝え、日本デザイナーたちの海外進出に貢献してきました。そんな彼女は「ブランドコンサルタント」でありながら、自身がデザイナーでもあり、プロの翻訳者でもあるんです。
肩書きをたくさん持つ理由は?好きだから!
Pinkoiでブランドコンサルタントとして活躍しつつも、「Sumomo(スモモ)」というアクセサリーブランドを自ら立ち上げたソフィー。
「最初は日本の雑貨を買うのが好きなだけだったんです。でも、次第に自分でも作ってみたいと思うようになって。」小さい頃に安室奈美恵が好きだった彼女は、常に日本に憧れを抱いていました。大学卒業後はプロダクトデザインを学ぶために来日、日本で3年間働き、ギフトデザインを手がけていました。
「その後、家庭の事情で台湾に戻ったのですが、ちょうどそのときにPinkoiの仕事に出会ったんです。」
趣味と仕事を融合させ、日本市場をリード
彼女が台湾に戻ったのは、Pinkoiがちょうど日本市場に進出する頃でした。ブランドコンサルタントとして、デザイナーとしての背景も持つ人材を必要としていたのです。まさにソフィーにぴったりな業務でした。
「日本のデザイナーは、海外市場に大きな憧れや期待を抱いていますが、そこに踏み出すための一歩を知らないことが多いんです。だからこそ、日本ブランドのデザイナーに連絡するときには、海外市場へ展開する方法までお伝えしています。例えば、どうやって海外に発送するのか、いかに言語の壁を打破するのか、台湾ユーザーはどんな商品を好むのかなど。本当に彼らのブランドのコンサルティングをしているんです(笑)。」
日本人は、消極的で新しい試みにはどうしても慎重になりがちな人が多いかもしれません。それゆえ、最初はコミュニケーションを取るのにもどうしても時間がかかります。
「でも、私たちはデザイナーのパートナーのような存在だと思うんです。彼らの商品がPinkoiで無事に販売されるようになったときには、私もデザイナーと同じように嬉しくて。感謝の言葉を頂くときが一番感動しますね。」
キャリア人生のなかで、自分のために決めたこと:自身のブランドの設立
ソフィーと仲良くなるにつれ、彼女には「1つのことに対して真剣に取り組む、日本職人の気質」のようなものが備わっている気がしてきました。
ふと、彼女に「自分のために決意した出来事は?」と聞いてみたところ、時間をかけて「ブランドコンサルタントになってから、自分のブランドを立ち上げたこと」と答えてくれました。
当初は勉強のためだと言ってブランドを立ち上げたソフィー。自らがPinkoiデザイナーになればデザイナーたちの考え方にも近づける、デザイナーと同じ立場に立つことで彼らの本当の想いを汲み取ることができる、と。
今思うと、軽はずみな考え方だったな、と…。全然時間が足らなくて、夜中にアクセサリーをつくっているんです(笑)。
「李」の名前で、好きな仕事を
ソフィーと台湾デザイナー、ピンコイ株式会社のスタッフたち
ソフィーの人生は、様々な肩書きで溢れ返ってますが、「思考の転換」により、すべてがうまく進んでいるんだとか。
「私のブランドは『スモモ(中国語で「李子」)』という名前なんです。私の苗字が「李」だから(笑)。このブランドは、私自身を表しているものだな、と。本当に好きなことだけをやりたいんです。」
好きなことをやっている彼女は、ブランドコンサルタントとデザイナーを「2つの仕事」として分けて考えているわけではないのだそう。日本デザイナーたちと交流することが、自分のブランドを継続させるためのエネルギーにもなっていると言います。
とにかく、私がやりたいと思っていることをやりたいんです。それに、やっぱりモノづくりは好きなので。今の私にとって、自分のブランドをつくることはプレッシャーを表現することにもなっています。
small pine cone ballイヤリング / ピアス
今では毎朝起きると、ネット上で様々なデザイナーをチェックしているソフィー。ブランドコンサルタントとしての視野を広げるとともに、自分のブランド商品をより良いものにするために勉強することは欠かしません。
インタビューのなかで、「何をしてても、大変なことはあります。でも、それは自分の考え方に縛られているだけ。視点を変えるだけで、自分のやっていることに対して意義を感じることもできるんです。人生のなかで起こることは、すべて自分に影響するもの。自分の人生をつくりあげていってください」と話してくれたソフィー。
好きなことをする。
それは、シンプルなことだからこそ魅力的に見えるもの。
あなたが人生において、自分のために決めたことはなんですか?
原文:興趣 v.s. 工作?專訪品牌顧問 Sophie「從單純哈日,到打下日本產品江山、成立個人品牌」的任性職涯
抄訳・テキスト:Ayumi
編集:別所 ゆかり