ちょっとブルーな日でも、かわいいヘアアクセサリーをつけるだけでなんだか気分が上がってくる。女の子のちょっとステキな特権。
今回は東京・下北沢からあらゆる年齢の「女の子」をウキウキさせるものづくりをしている1人のデザイナーchikoさんのお話を聞いてきました。
毎日に彩りをくわえる、空気をたっぷり含んだふわふわのシュシュの制作の裏側。そしてデザイナー、妻、母親と生活上の色んな役割を軽やかに楽しみながらこなすコツなど、明日を今日よりもちょっぴり良くしていきたい、こんな思いを持った全ての女性必見のインタビューです。
こんにちは、まずは始めにchikoとはどんなブランドなのか、簡単な説明をお願いします。
ー chiko は「毎日に彩りをあたえる、うきうき心躍る咲き編み小物」をコンセプトにしたブランドです。私がデザイン・制作・販売全てを手がけています。
chikoさんの創り出したアイテムの大きな特徴は「咲き編み」を使ったアイテムたち。この「咲き編み」について詳しく教えてください。
ー 布を裂いて編む、“裂き編み”という手法を用いています。
シルク、綿、麻、デニム…あらゆる布を裂く中でわたしが魅了されたのがリバティ生地とオーガンジー。現在はこの2種類の生地を主に使用しています。
リバティ生地の持つ発色の美しさ、そしてその生地を使用して作った小物は気品漂う美しさがあり、まさに「花」そのもの。
そしてオーガンジーのやさしさ、透け感、光が当たった時の色のハーモニーは自然と調和します。編み上げたシュシュやバッグは、そこに咲いた「花」のようにふんわり。
だからわたしは“裂き”編みではなく、“咲き”編みと呼ぶことにしました。
わたしだけのリバティ咲き編みクラッチ×スパンコール~パープル
リバティ生地を贅沢に用いたポーチは、素晴らしい色柄を最大限に引き出します。リバティ柄が立体的に編み込まれることで、さらに美しい色合いを生みだしています。そして、その高貴な風合いをさらに高めるのがビーズ刺繍。リバティ柄の咲き編みを惹きたてる個性的なスパンコールを選び、ひとつひとつ柄と合わせながら縫いとめています。色の組み合わせが生み出す新たなデザインをぜひご覧いただきたいです。
オーガンジーの咲き編み商品は、空気をたっぷり編み込んでいきます。
やさしいオーガンジーの生地を裂くことでハリが生まれ、その生地を独自の技法でひと針ひと針きっちり編み込んでいくため、ふんわりとしたボリュームができるのです。だから、繊細に見えますがとっても丈夫なんですよ。ふわふわは、たくさん使っていただいても持ち歩いても、水にぬれてもそのまま。へたれずずっとふわふわです!
繊細でカワイイのに耐久性があるのって本当に嬉しい!でもこのユニークな咲き編みが生まれるまでの道のりが気になります。プロフィールを拝見すると昔は研究職だったとか。
ー そうなんです。大学ではライフサイエンスを専攻して実験室にこもり、ついこの前までは製薬会社で新薬の開発をしていました。社会的な貢献度も高く、とてもやりがいのある仕事で業務に勤しんできました。
一方で、小さな頃からアップリケをはじめとして「ものづくり」は本当に大好きで…。大学時代は好きな洋服を求めて洋裁に目覚め、結婚式に至ってはわたしだけのドレスを求めてウエディングドレスまで作りました。出張先のホテルにも針と糸を持ち込む始末でした。キャリアを築く一方で、何かを作りだすということに対してはずっと情熱を持っていたんです。
進学をしても就職しても結婚をしても、何かを自分の手で作り出すことをやめなかったんですね。
ー そうですね。わたしの手は止まることを知らず、常に作るものを探し求めていました。だから子供ができてからは、作るものがたくさんあってとっても幸せでした。ちいさな洋服やスタイや帽子…
でも、子育て真っ最中で資材を買いに行くのも一苦労しました。家にあるもので例えばわたしの洋服をリメイクしたりするうちに、手作りをしたウエディングドレスが目に入ったんです。ドレスの腰元にある大きなリボンの生地を思い切って裂いてみると、今まで見たことがない不思議なリボンが生まれました。このとき「あ、これは面白い」と感じたんです。
そして裂き編みに出会いました。もともと、人とは違うものを求める性格で。編み物の枠を超えて自由な世界を表現できる楽しさにどっぷりとハマり、布を裂いては編む日々をすごしました。
趣味として始めはポーチ、バッグを中心に作り、近所のカフェのクラフト市で販売をしてみました。そのとき脇に数点置いておいたシュシュをお求めになったお客様が、直後にリピートしてくれたんです。とっても気に入ってくれた様子を見て大きな喜びを感じ、そして大きな自信となりました。
そこから“咲き編み”の世界は、みるみるうちに作られていきました。
咲き編みがウェディングドレスのリボンを裂いたことから始まったなんて。そこからchikoさんのアーティストとしての感性に火がついたんですね。
ー ずっとずっとわたしの中にあったクリエイティビティが爆発し、ますます「ものづくり」にのめりこむようになりました。ウェブでの販売もはじめ受注も少しずつ増えていきました。
ただ、開発業務も半端な気持ちではできませんから、両立にはかなりの精神力が必要でした。朝の通勤前、子供が起きる前の数時間、昼休み、そして子供を寝かせた後の数時間。生みだせるすべての時間を「ものづくり」に費やしました。それでももっともっと作りたい…どう時間をやりくりして次の作品を作ろうか、そんなことばかり考えていました。
そしてふと、キャリアにしがみつく意味がわからなくなったのです。湧いてくるエネルギーをすべて咲き編み商品にのせよう、そう決意し、咲き編みアーティストに転身しました。
安定した仕事よりもやりがいを選ばれたんですね。アーティストに転身したあと、一番うれしかったことは何でしょうか?
寝ても覚めてもずっと「ものづくり」をしていられることです。これまでの大企業の一員という後ろ盾がなくなった不安はありますが、chikoの世界をどんどん表現して伝えられることはこれ以上にない歓びです。実店舗で販売していただく機会も増え、念願だった海外販売も始めることができました!
デパートに出店されることも
私もchikoのシュシュが大好きです。ヘアアレンジが苦手なのですが、chikoのシュシュがあれば怖いものなしな気分になれるんです。どんな女性の髪も美しく可愛くしてくれる力がありますよね。
ー ありがとうございます!シンプルかつエフォートレスなスタイルにchikoのシュシュは最適です。ちょっと人とは違う何かを加えたい、もっとおしゃれを楽しみたい女の子たちにもっともっとお届けしたいと思ってデザインと制作をしています。
全ての年齢の女子の心をつかむchikoのアイテムたち。発想の源になるコト・モノについてうかがいたいです!
ー ずばり「自然」ですね。大自然の中に身を置くとエネルギーが満ち溢れる心持がして、学生の頃からバックパッカーで一人旅を楽しんできました。人が決して作り出すことができない自然の見事な造形、そしてそこに息づく人々の知恵とものづくりには強く心を打たれ、chikoの世界に大きな影響を与えています。
咲き編み作品は、大地、木々に色づく花。そんなイメージをもとに自然と調和するファッションを軸にしています。
なんとアマゾンにも行かれた経験があるchikoさん!
自然な空気感を大切に「自由」な余白を楽しむ。そんな感性を編み物に取り入れてみました。私のアイテムはひとつとして同じものはありません。制作時もひと編みひと編み、「自由な空気感」を大切に作っています。
「自由な感性」を愛するchikoさんが思う「いいデザイン」とは?
ー まずは自分が好きかどうかが大事だと思っていて。どんなに世間が褒め称えていても自分がどう感じるかが一番重要だと思うんです。だから「自分がいいな」と思うアイディアを形にできた瞬間に大きな達成感を感じます。
いきいきと制作をされているから、chikoさんの生み出したアイテムを見ると私たちもウキウキしてくるんですね。ブランドを経営する中でスランプや行き詰まりを感じることはないんですか?
ー もちろん行き詰まることもあります。そんなときはお庭に出て花をいじったりアートを鑑賞したり、大好きなことを思いっきり楽しみます。
下北沢散策もいいですよ。アンティークショップを巡って、かつての持ち主に思いを馳せたりするうちに、新しいアイデアが浮かんだりするんです!
下北沢のお気に入りスポット「東京レトロ」
chikoさんを見ているとアーティストとして母親として、忙しい中でもとてもキラキラ輝いてらっしゃいます。色んな役割を上手にこなすコツがあればぜひ教えてください。
ー どんな瞬間も楽しむことでしょうか。できればずーっとものづくりをしていたい!と思う時間ももちろんあります。でも主人も子供も帰ってきて、ご飯やお風呂の準備…いろいろあります。でもそれも日々その時間にしかできないことだと思うんです。できることをひとつずつ確実にこなしていく。すると、いつの間にか余計なものが削げ落ちて、すべての瞬間を楽しめるようになります。
いろんなことが同時発生すると頭が混乱してきます。でもchikoさんのおっしゃるようにできることから確実にこなしていくということも大事ですよね。
『chiko』のシュシュはミニサイズもあります。子供が使ってもかわいいですねchikoさんをはじめ、多くのお客さんが子供と一緒にリンクコーデを楽しんでいるのだそう!
今年は海外に向けてPinkoiでの販売も始められました。日本以外の国にchikoさんのアイテムを届ける中で気持ちや考え方に変化はありましたか?
ー ステキなものをステキと思うのに、日本も海外もない!と思っているので、世界中の女の子に「ステキ!」と思ってもらえるものを生みだしていきたいと前にも増して思うようになりました。
南アフリカで現地の子供と撮った一枚
今は世界中に咲き編みの花を咲かせることをブランド経営の目標にしています。いつか今まで旅で出会った女の子たちに咲き編みシュシュを届けに行きたいと思っています。
日本国内のみという決まった箱に閉じこもるのはもったいないです。自分の世界は大きいほど可能性は広がると信じています。
< 編集後記 >
アーティスト、女性そして母親として、目の前のことをひたむきに楽しむchikoさんの姿を見ていると、私も新しい挑戦をしたくなりました。自分の気持ちに向き合い「何を楽しいと思うのか」という感覚をとらえる。忙しい生活の中でふっと忘れがちな大切なこと、胸にしっかり抱いておきたいですね。
♡ 編集部のオススメアイテム
chikoのシュシュはたくさんの色から選ぶことができます。カラフルなパステルカラー、爽やかなブルー、キュートなピンク。毎日の気分や洋服に合わせて自分の好きなふわふわシュシュを選べる幸せ…。
迷いに迷った末に私が選んだのがこちらのワインレッドのシュシュ。シュシュは可愛い系のお洋服としか合わないかな?なんて思ってしまいがちですが、こちらの色味はしっぽり落ち着いて、秋冬の装いにばっちり華を添えてくれます。不器用さんに心からおすすめしたいアイテムです。
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テキスト:岸本 洋子