毎日、選んで、着て、脱いで、洗って…。
日々の生活には欠かせない、いや私と一心同体である「洋服たち」。
そんな「洋服たち」が、どのように生まれているのか知っていますか? そんな疑問をいだきつつも、なんとなくこれまで知ることができなかった洋服たちの誕生ストーリーをこの度KANA MATSUNAMIのデザイナー松並さんに教えてもらうことになりました。
新連載「洋服づくりの現場から」スタートです!
ーーー
こんにちは。はじめまして、KANA MATSUNAMIのデザイナー松並です。
今年の春はサクラが咲いたと思ったらぱっと散ってしまい、その後は真夏の様なお天気になったり、身が引き締まるような寒さの日が続いたり…。
私は今、来年2019年に出す商品のデザインを考え中です。
洋服のデザインや製作方法は人それぞれだと思いますが、私の場合大まかな全体のディレクション(コンセプトや色)を決め、個々の形(洋服)のデザインは生地を見ながら決めることが多いです。
洋服づくりでとても重要な生地。今回はまず、生地選びの工程を少しお話しします。
画像・上↑ は一年前に作成した2018年立ち上がり用に作ったディレクションマップです。こんな感じの全体像から始めます。
先日、新しい生地を探しに宇仁繊維さんの表参道のオフィスへお邪魔しました。宇仁繊維さんは合成繊維が得意な生地屋さんですが、最近、天然繊維にも力を入れているとのこと。
新しい生地をご紹介いただきつつ、どのような加工ができるかなどを聞きました。
一見大人しめな表情の子(生地)でも、加工をかけると魅力的になったり、別の表情を見せてくれたりすることがあります。なので、私は加工見本を見せてもらいつつ、細かくお話をうかがうのが好きです。
机いっぱいに並べられた生地の数々…至福の空間
そうして生地のショールームにてピックアップした生地が、生地の値段表とともに後日届いたのが上の写真。生地を触って見ていると作りたいもののイメージがたくさん湧いてきてワクワクします!「このワクワクを一年後に販売する商品に落とし込み、お客様に伝えていきたい」という思いで生地をピックアップします。(いつもついつい欲張ってたくさん選んでしまいがち。)
生地を触りながら
「この生地でロングのスカートを作ると可愛いな」とか
「この生地はプリーツ加工をかけると表情が出て可愛いな」とか
考えながら使いたい生地を生地の値段も見て、再度ピックアップ。
そうして最終的に希望の色見本があるかどうか(ない場合は希望の色を別注文で染められるか)&予算も考えて使用可能な生地を優先順位をつけていきます。
生地の質感&風合い等々はもちろん重要ですが、生地幅と一反(生地はロール状になっています。その1ロールのことを一反と呼びます)何メートルあるのかなどの確認も重要です。
また、生地の幅は大きく分けてシングル幅(約90cm)とダブル幅(約140cm)があります。
生地の幅が大きいダブル幅の生地を使うと、生地の幅が広い分、シングル幅の生地を使うよりも短いメーター数でより多くの洋服を作れることになりコスト削減に繋がります。
そんなこんなで選ばれた生地たち。
この生地たちを元にデザイン(洋服の形)考えたり、もしくは逆に作りたい形が決まっている場合はそれにマッチする生地を選定した生地の中から再度選んだりして、実際の形にしていきます。
どんなものになるかお楽しみに。
ーーー
今日は大好きな生地選びの工程をご紹介しました。
どうやって洋服がつくられていくかに興味を持っていただきたいければなと思っていますので、少しずつですが今後も物作りの現場をお伝えしていきたいと思います。
○○編集後記
松並さんの記事を読んで、布1枚からストーリーやイメージを作り上げられるファッションデザイナーさんってやっぱりすごいなぁと思いました。ついつい忘れがちですが、私が今日身につけている洋服も、元々は一枚の布だったんですよね。この一枚の布がどう変化していくのか…。今後の連載が楽しみです。
編集長のお気にいり:レースマキシドレス
憧れの総レースのドレス…♡ でも甘すぎないスタイルがとても素敵で目が釘付けになってしまいました。またこの写真からは分かりにくいのですが、フロント部分のボタンが貝殻で出来ているんです。ボタンをしめてドレスとしても良いですが、ボタンをあけて羽織りとしても使えそう。ジーンズや白Tシャツと合わせてみたいな。
? 詳しくはコチラから
テキスト:松並 加奈|KANA MATSUNAMI
編集:岸本 洋子
ものづくりのストーリーをもっと読みたいなら
▷▷ 69歳のデザイナー松本久子さんの赤ちゃんスタイに込めた願い【bib-bab】
▷▷ 小さな刺繍から笑顔のつながりを!『spicaの庭』服部さんのお話
▷▷ アジアの少数民族の手仕事を毎日身につける幸せ。『 Hat Labo Jam 』のお話