台湾のメンズファッションと聞いて、思い浮かべるブランドといえばどんなものがあるだろうか?
なかでもSYNDROは欠かせない存在である。
紳士服としての魅力と頑丈さを兼ね備えた精巧な仕上がり。
衣服として、細部にまでこだわりを感じられるのだ。
欧米の軍服からアイデアを得て、そのスタイルを生み出すSYNDRO。男性を楽しませ、本来の自分を見つけ出すようなファッションを提供している。
今日は、そんなSYNDROがオープンする店「SYNDRO HOUSE」に訪れ、SYNDROのデザインを手がけるShinwayにブランドに懸ける想いを聞いた。
SYNDROが見る、「理想的メンズファッション」に必要不可欠なモノ
理想のメンズファッションをつくるうえで、一番重要なのは「カルチャー」
同一グループにいる者が、同じ時間を共有するなかで生まれる「カルチャー」。理想的なメンズファッションは、そんな時間経過とファッションカルチャーが組み合わさることで、現代生活に溶け込んでいくものだ。例えば、台南のファッションブランド「oqLiq」は、地元の職人と染織文化を、彼らがつくる衣服と組み合わせたことで新しいファッションカルチャーを生み出した。
▲ ベレー帽を被り、ブルーのジャケットに身を包んだ、SYNDROのデザイナー Shinway
SYNDROがインスパイアを受けた多くのものは、昔の軍服(作業服)だった。当時の軍服はいわゆる日常着であり、今のようにトレンドを追っているものではなかったが、そこに着目したSYNDROは貴重な存在だったという。
クラシックなスタイルを活かし、「衣服の可能性」と「芸術性」を組み合わせるという繊細さがSYNDROの特徴。
他のメンズファッションとSYNDROの一番の違いとは?
SYNDROが最もインスパイアを受けているのが、昔の衣服。Shinwayは、毎日のように歴史上の出来事を調べ、徹底的に研究している。第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争のときには、どういった衣服がデザインされていたのか?昔の作業服には、なぜ現代人に必要ない要素が含まれていたのか?
例えば、タンニンのワークジャケットの襟にはボタンホールの数が余分に見つかることがある。それは、当時の人たちが、そのボタンホールに懐中時計を付け、左胸のポケットにしまっていたからだ。もちろん今ではそんなニーズはないが、その要素を服に残すことで逆に「おしゃれさ」を醸し出すことができるという。
昔と今のファッションに目を向け、衣服が持つ記憶をファッションに活かしていくということが、他のブランドとSYNDROの大きな違いだろう。
▲ SYNDRO 2015年〜2019年
タイト、オーバーサイズ、ドロップショルダーなど、流行を追うことはしないShinway。今の流行りを取り入れるのではなく、男性が10年先に着たいと思えるような、時代を超越したファッションを意識しているという。
素材であろうと、職人であろうと、時間という概念に縛られないということがSYNDROというブランドを語るうえでは重要なのだ。
SYNDRO以外で、Shinwayが思い浮かべるメンズブランドといえば、Levi’sとRRLだ。130年経った今でも多くの人から愛されるデザイン性の高さは、技術は進歩したと言え、古き良き時代を思い起こさせてくれる。また、オールドスクールは、今では日常的なファションスタイルとして取り入れられている。
▲ Shinwayにとって最も象徴的なメンズブランド、Levi’s(左)とRRL(右)
SYNDROはなぜ帽子を重視するのか?
Shinway自身も、一週間に5日(あるいはもっと多く)は帽子を被っているという。それくらい帽子は、彼にとって欠かせないアイテムとなっているのだ。
時には、髪の毛を切ったばかりのときでさえ、習慣で帽子を手にしてしまうんだとか(笑)。メンズファッションのなかでメガネと帽子は、もっとも重要なアクセサリーだ。今やSYNDROのなかで帽子は主製品になっている。
振り返ると、SYNDROのなかでもベストセラーだったのが、エクアドルのパナマ帽だ。南アメリカの地元の職人たちに手で編んで台湾に送ってもらったのちに、染色布であしらう。2つの手作業を組み合わせた帽子づくりが、市場にも受けたといえる。
HARISS TWEED キャスケット帽 | キャスケット帽
その後に作ったキャスケット帽は、よりレトロさを感じられる商品となった。
「ベスト」好きなSYNDRO。どのように着るのが正しい?
ベストはジャケットに近い感覚だが、ジャケットよりも長い期間着られるのが特徴だ。台湾の気温を例に取ると、11月から3、4月まではジャケットが必要となるが、9月から5月、6月くらいまで着られるのがベストだ。ジャケット的な感覚を持ちつつも、コスト的にも安いのが嬉しい。
なかでもスーツベストの魅力は、フォーマルにもカジュアルにも着られる点だ。ボタンをきっちりと留めれば、紳士的なスタイルに。ボタンを留めていないときには、ロングスリーブTシャツを合わせてカジュアルな日常着に。様々な着こなしができるため、コスパも良いと言えるだろう。
スーツベストだけではなく、SYNDROではミリタリーベストも発売。ダウン素材は、台湾の男性たちに非常に人気だ。バイクに乗るときはもちろん、日常でも保温効果の高いダウン。機能性が高く、見た目もおしゃれなのだ。
初めてSYNDROを手にする人へのおすすめは?
Shinway「SYNDROコレクションのなかでも、テーラードジャケットをおすすめします」
カジュアルにもフォーマルにも着こなせるテーラードジャケットは、フォーマルな場でも失礼がない。着用時の快適さにもこだわった一着で、デザイン面はもちろん、機能面にも優れている。
「他にもおすすめしたいのが、デニムシャツ」
インドの伝統的なシャツにアイデアを得てつくられたのがこのデニムシャツ。従来、丈が腿の2/3まであるものを1/2まで短くし、ポケットを付けた。一度試着した人は必ず気に入るという、このデニムシャツ。デニムジャケットやスーツジャケットとも相性が良いのが嬉しい。
SYNDROは、レディースブランド「SYNDROme」も立ち上げている。レディースブランドを立ち上げようと思ったのは?
SYNDROとSYNDROmeの類似性、そして違いとは?
Shinwayは笑いながら、実はブランドを立ち上げた当初は深く考えていなかったという。
SYNDROに興味を持っている女性の声を受け、Shinwayは2016年の秋に初めてSYNDROmeを発売。SYNDROと同じコンセプトでレディースブランドを立ち上げた。ただし、まだ女性のニーズは掴みきれていないと語るShinway。まだ試作段階でもあるのだろう。
▲ 同じ生地とコンセプトでも、男性と女性では違うスタイルに。女性がSYNDROmeを着ることで、爽やかなペアルックに!
SYNDROにとって、Pinkoiとはどのような存在?
2015年にPinkoiに加入して以来、SYNDROとPinkoiは共に歩んできた戦友とも言えるだろう。ShinwayはPinkoiを通じて、ブランドのポジションニングを見つけ出し、消費者の認知度を知ることができると感じているという。
かつては台湾人が台湾ブランドを高く評価するものではないと思っていたが、自身のブランドを始めたのち、台湾消費者のなかには常に、台湾の良いブランドを探しているグループがいることに気づく。そして、Pinkoiはそういった消費者たちを誘導する役割を果たしていると感じるという。
SYNDRO
https://jp.pinkoi.com/store/syndro
SYNDROの商品は海外通販サイト「Pinkoi(ピンコイ)」から購入できます。
SYNDRO HOUSE
台北市松山区三民路 180 巷 22 号
原文:【設計師專訪】重現經典工裝靈魂,文火慢燉出男裝的文化底蘊|Pinkoi 小編散散步
翻訳:Ayumi