35,000以上のブランドが集うPinkoiは、今やアジアを代表するデザインプロダクトのショッピングサイトとなり、そのプラットフォームを通じて多くのブランドの成長とグローバル化を促し、デザインがすべての人の暮らしの中に息づくよう取り組んできました。
設立から10年、Pinkoiは35,000以上のブランドが集うアジア最大級のデザインプラットフォームとなりました。 プラットフォームが発展し成熟するにつれ、より強固なエコシステムを構築するためには、基礎を築くだけでなく「山」を築くことが必要で、より多くのブランドがより大きく国際的に発展し、望ましい方向に前進することで、デザインが消費者の生活に溶け込めるのだと感じています。
2022年初め、PinkoiはShopping Designと手を組み、第1回Pinkoi Design Awardを開催しました。他のデザイン賞とは異なり、創造性やブランドの美学だけでなく、ビジネス戦略や事業展開、ブランドの価値も重視しました。
より多くのブランドが「商業化、規模拡大、国際化」に向かうことを後押しするため、今回のPinkoi Design Awardは世界各国から強力な審査員たちを集めました。 JL DESIGN創設者・クリエイティブ・ディレクター、Good Finance Securities Co., Ltd.(証券会社)最高ブランド責任者の羅申駿(台湾)、株式会社メソッド代表取締役の山田遊(日本)、Milkxhakeデザイン事務所の創業者、デザインディレクターの毛灼然 (香港)、タイ・経済・都市開発クリエイティブディレクターのMontinee Yongvikul (タイ)、新岱有限公司項目プロジェクトリーダーの謝品華(中国)、以上5名が今年のPinkoi Design Awardの審査員を務めました。
異なる文化的背景と専門性、視点を持つ5人の審査員。アジアにおける最近のデザイン情勢や、デザインとビジネスモデルの今後の発展についての対話を通して「デザインビジネス」についてのイマジネーションがより刺激されることを願って、ディスカッションが始まりました。
デザインはいかに人々の暮らしを変え、影響をもたらすか
羅申駿は、デザインの本質とは、思想上の探索であり、人々がさまざまな可能性を模索するのを助け、その結果、行動の変化につながるものだと考えています。
デザインの美学や機能性は時代とともに進化するもので、人々のニーズやサステナブルな考え方を起点に、そこから生活や行動、思考、さらには想像力を本当に変えられるか、つまり「どんなデザインを生み出したか」を考えるべきだと話しました。
Montinee Yongvikulは、新世代の消費者は生活に対する認識を変え始めており、こうした動きが、生産者や企業に新しい価値と経験の創造としてのデザインを考えさせるような影響を与えていると指摘しました。
また、今日のデザインは、もはや美観や機能性だけでなく、個人や集団の生活をより良い方向に導くという願いが込められていることを強調しました。
アジアにおけるデザインビジネスの今後
山田遊は、今後、社会的意義のない商品は淘汰されていくだろうと指摘しました。 なぜ今この製品を作らなければならないのか、なぜ売る必要があるのか、デザインの意義は?生活に役立つ商品か?そんなことを人々は考え始めるはずだとし、社会的意義のないデザインにはあらゆる疑問の目が向けられることになるだろうと自身の考えを表しました。
羅申駿も、すべてのデザインは「環境についていかに多くの問いを投げかけるか」であると考えています。 デザインとは、単に美観を高めるものでなく、より長持ちさせ、より価値を高め、より多く使われ、より浪費をなくすもの。個人、社会、環境から発する問題の可能性を考えることは、デザインに深い配慮を与え、複雑な問題をシンプルなデザインに変え、誰もが変化に参加できるようにするものなのです。
「デザインビジネス」の定義と「デザインビジネス」の発展
羅申駿は、過去の経験や現在の考察から、ビジネスだけがデザインにつながると指摘しています。 つまり、人のニーズや人の心を観察する「ビジネス」の中にこそ、解決策としての「デザイン」が存在するということ。 デザイナーがデザインによってもたらした変化を、ビジネス的な展開により、さらに多面的な方向に展開していけるのです。だから、デザインとビジネスは絶対に相補的なものなのです。
デザインは生活の問題解決であるという観点からみると、デザインそのものがビジネスの一部であると考えているのが、謝品華。 今後は、インターネット、自動車、ゲーム、ニューメディアなどの業界でプロとしてデザインを提供する人が増えていく一方、他方では、技術革新により、専門教育を受けない人がデザイン業務に従事することも増えるだろうと話しました。タイプライターの時代には多くのタイピング作業は専門の秘書が担当していたのが、WindowsのWord登場以降は、誰もが基本的な事務処理能力を持つようになったのと同じような未来がデザイン界にも起こるのでしょう。
さらに、新型コロナがもたらした「脱グローバル化」により、その土地の文化や消費動向を最も理解している現地の代理店や貿易業の役割にスポットが当たる可能性も指摘しました。
Montinee Yongvikul は、これからの新しい世界を見据えて、商業デザインはもはや製品やサービスだけでなく、人々の生活にも関わるものだと指摘しました。 ビッグデータの蓄積やテクノロジーの進化がデザイン開発プロセスに大きな役割を果たすようになると、問題解決の議論の際に、画期的なアイデアや未知なる可能性を導き出せるだろうと、期待を込めました。
毛灼然は「デザインは、純粋に個人でできるアートとは異なり、クライアントと対話する商業的創造物の一形態だ」と付け加えました。 そのため、優れたクライアントのコンセプト、デザイナーの視点、マーケティング戦略を兼ね備えたものが、優れた「デザインビジネス/商業デザイン」と言えるのです。
山田遊も、商業デザインは生活と密接に関係しており、生活が変われば商業デザインも当然変わっていくと考えています。 例えば、現在重視されている開発者体験やサービス体験デザインは、まず消費者のニーズを理解して初めて、デザインやビジネスが成り立つものだと考えています。
デザインとビジネスは表裏一体
今後、デザインとビジネスはますます切り離せなくなり、デザインで問いを立てて解決策を見出し、ビジネスでその解決策が実現可能か、効果的かを検証するという、表裏一体のような関係となっていくでしょう。 デザインビジネス/ビジネスデザイン という考え方があってこそ、ブランドは確たる土台を築くことができるのです。
受賞ブランドの詳細はこちら:Pinkoi Design Award 2022 受賞ブランドリスト
※本記事は、台湾「Shopping Design」のサイトにて掲載の内容を翻訳・編集したものです。
取材・文/Shopping Design 謝繕聯
編集・翻訳/Pinkoi エディター Nana