日本のデザイナーさんにフォーカスを当て、作品やブランドに懸ける想いを伺っていくデザイナーインタビュー。今回、お話を伺ったのは素敵なアクセサリーが目を惹く「樹脂の女」さんです。
ブランドの背景に隠れたストーリーを知ると、これまで以上に商品が魅力的に見えてくるはず。ぜひデザイナーさんの想いを読んでみてください。
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モデルからアーティストへ
ーもともとファッションモデルとしてご活躍されていらっしゃったということですが、アクセサリーづくりに目覚めたきっかけというのは?
小さい頃からおしゃれが大好きな子だったんです。特に洋服が好きで服飾学園で縫製を学んでいたのですが、そのときにモデルにスカウトされて。「好きな洋服をたくさん愛でることができる!」と思い、モデルの世界へ。そんなモデルの仕事で、イタリア・ミラノを訪れたときに大聖堂のステンドグラスに惹かれたんです。
太陽の光を浴びて輝く、暖かいガラスの色合いが本当にきれいで。日本にはない色合いでしたし、そのステンドグラスによって大聖堂が神秘的なものに見えたことを鮮明に覚えています。そんなカラフルなガラスの透明感と緻密なデザインに惹かれ、いつかこんなアクセサリーがつくりたい!と思ったのがきっかけでした。
透き通る美しさを生み出すまで
ー たしかに樹脂の女さんのアクセサリーは、どれも透明感があって素敵ですよね。思わずその美しさに引きこまれてしまいます。
ただガラス素材で耳飾りをつくると、重すぎて耳に負担がかかってしまうんです。そこで良い素材はないかと探していたときに、祖母が昔、樹脂の膜が張る不思議な素材で花のオブジェを作っていたことを思い出して──。それが50年ほど前に日本で流行っていた「ディップアート」というものだったんです。透明感があって自由に形がつくれる、そしてガラスより軽い。まさにこれだ!と思って。
ところが、ディップアート法で制作して強化液でコーディングしても、素材が薄くて壊れやすいんです。そこからはあらゆる樹脂素材を取り寄せて調合を繰り返し…(笑)。ついに壊れにくい独自の強化液を生み出すことに成功し、耳飾りをつくることができたんです。
ー この美しさを生み出すためには、そうとうなご苦労があったんですね。
それだけ樹脂のことを知り尽くしたということで、ブランド名も「樹脂の女」にしました。
グラデーションがかった色付けにも苦労しましたね。試行錯誤のうえ、今の状態になるまでに4年かかりました。
何色もの色を重ねることで、花の立体感や質感を表現し、まるでガラスのような多彩で透き通る艶や輝きを出すことができるようになったんです。
ーそんな長い歳月をかけて生まれた作品が、私たちの手元に届いていると思うと、なんだか感慨深いですね。
デザインはお花をモチーフにされていることが多いと思いますが、これにも何か思いが?
母親の影響が大きいですね。幼いときには、よく山や川に連れて行ってもらって、花や木、生き物たちを観察していたんです。人間とはまったく違う色や形を持ち、限りある命を生きる生物。そのすべてが私にとっては魅力的で。
例えば、1年に1回しか咲かない桜。一瞬のその美しさや儚さに感情を揺さぶられますよね。花は、私たちを癒し、楽しみや喜びを与えてくれるものだと思うんです。そんな生物の与えてくれる命の尊さと、儚い花の美しさを私なりに表現できたらなと思い、デザインに落とし込んでいます。
季節があるお花。アクセサリーもそれに合わせて、その時期にしか楽しめない特別なものを制作しています。
唯一無二のアクセサリーを届けたい
ー 「artを身につける」というブランドコンセプトも印象的なのですが、やはりファッションモデルとして活躍されていた影響も大きいのでしょうか?
そうですね。私がファッションモデルとして活動していた頃、デザイナーの唯一無二の作品を身につける機会が多くて。デザイナーが何ヶ月も想いを込めてつくったアクセサリーや洋服は、身につけると鳥肌が立つほど美しく、特別だったんです。
一点物のアクセサリー
そんな彼らの作品のように、私の作品も一点物や限定品というアートなものでありたいな、と。誰にも真似できない圧倒的な技術とデザインを磨き、ハンドメイドを越えた唯一無二の作品を生み出すことで、他にない特別なアクセサリーを提供していきたいと思っています。
ー そんな想いが込められた作品をPinkoiで販売されていますが、実際のお客さまからの反応というのはいかがでしょうか?
Pinkoiはアジアのユーザーが多いので、本当にたくさんの方に見ていただいているのを実感します。もともと、お客さまから「Pinkoiで販売してほしい」という意見をいただくことが多くて。
他のサイトでは台湾からのご購入が多いんですが、Pinkoiでは香港やマカオをはじめとしたアジアの国々からお問い合わせいただくことが多いですね。
国によって嗜好が違うことが、お客さまとのやり取りのなかでもわかるので、私自身も勉強させてもらっています。アクセサリーの長さを変更したいというご希望にもお答えすることで喜ばれていますよ。今後は、Pinkoiで販売できる限定品の種類も増やしてみたいな、と思っているところです。
ー ありがとうございます!最後に、今後チャレンジしてみたいことがあれば教えてください。
ディップアート法はアクセサリーだけではなく、無限に形を形成することができる万能な素材だと思っているんです。この素材が持つ、美しさを最大限に表現するためにも今後はオブジェやart的な大きな作品づくりにも挑戦していきたいな、と。それによって、さらにお客さまを樹脂の虜にしたいですね(笑)。
今年は台湾で初の個展を開催する予定も入ってるので、今から楽しみです。
また、乳白色で透明感があり、軽くて使いやすい素材はヘッドドレスにも向いています。そんな素材の魅力を活かし、ライダルアクセサリーの展開にも注力していきたいですね。
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樹脂の女:
身長176cm。服飾学園卒業。以前は、ファッションモデルとして日本やイタリアで活躍。
イタリアに在住時、duomo(大聖堂)のステンドガラスに刺激を受ける。ガラスのような艶めきと透明感のある、液体樹脂のディップアート法に出会い、「樹脂の女」としてブランドを設立。日本での対面販売件数は100を超える。今後、銀座三越、阪急うめだにて単独POP UP予定。
2017年から海外販売開始。台湾の「Dpi magazin taiwn」や台湾版「 ViVi」など有名雑誌にも掲載される。台湾で最大級の「EXPO TAIWAN」に参加、ハンドメイドアクセサリーでは日本人初めての参加となり注目された。「POP UP ASIA in Taiwan 」では176ブースの中、売り上げ第3位となり、台湾でのファンが多い。今後、台湾にて個展を開催予定。