お洒落なパッケージで、日本のテレビ番組でも紹介されるなど、注目を集めている台湾茶ブランド・琅茶(ウルフティー)。
手軽に飲めるドリンクスタンドやペットボトルのお茶が主流の今、
おいしい台湾茶を同世代の人にもっと知ってもらいたい、味わってもらいたい。
そんな想いから、琅茶(ウルフティー)は質の高いお茶を生活の中に取り入れられるように、より深くお茶を体感できるようなブランドコンセプトで、台湾の新しいお茶文化を牽引しているブランドです。日本でも台湾茶を広く楽しむことができるようになった昨今、ギフトとしても喜ばれると話題の琅茶(ウルフティー)について、話を伺いました。
琅茶(ウルフティー)について、自己紹介をお願いします。
琅茶(ウルフティー)はブレンドしない単一のお茶「シングルティー」を取り扱っています。台湾茶は、季節や気候に影響を受ける茶葉の成長や、加工する生産者の持ち味などで、たとえ同じ産地であっても味が変わるとても繊細な飲み物です。どの山で、誰が、いつ作ったのかなどが味の善し悪しを決めているので、「一期一会・唯一無二」という出会いの妙や、希少価値の高さが台湾茶の魅力のひとつでもあります。その時期に採れた一番良いお茶の味を一度知ってしまったら、知らなかった自分に戻れないくらい!(笑)それほどに、台湾茶の世界は奥が深くて味わい深いのです!
「一期一会・唯一無二」は琅茶(ウルフティー)が伝えていきたい台湾茶の哲学です。茶葉の栽培/成長には、植栽環境、気候と土壌の状態などが大きく影響します。茶葉を収穫するタイミングや湿度、気温、お茶に加工していく複雑な工程などを考慮していくと、手間ひまかけて出来上がった台湾茶は芸術品のようなもの!生産する方々の忍耐力と技術力の高さには頭が下がります。
「シングルティー」の概念は、シングルモルトのウイスキーやコーヒーのシングルオリジンの概念と同じ。どこの茶葉なのか、誰が作ったのか。生産者の顔が見える安心感。茶葉ごとに異なる個性のある味わい。提供された台湾茶を味わう私たち、そしてお客さま。お茶を通して人と人とが繋がり合う「一期一会・唯一無二」、これこそまさに人生の深みであり私たちの喜びです。
このブランドを立ち上げたきっかけはなんですか?
立ち上げメンバー3人の内の一人であるArwen(アーウェン)は幼い頃から父の淹れてくれるお茶を飲んで育ちました。アーウェンの父の故郷は阿里山にあり、 その土地柄、本人も含め父方の親戚や知人たちは皆んな台湾茶のスペシャリストです。アーウェンの父は、20年以上のキャリアを持っている台湾茶の大ベテランです。
そんな父を持つアーウェンは大学を卒業した後、台湾の街中で見つけた「台湾茶」を飲んでみた時びっくりしたそう。想像していた味ではなく、これが台湾茶として売られていることに驚きを隠せなかったのです。アーウェンは父の仕事を心から誇りに思っていたので、自分が手伝うことができないか、本当のお茶を飲んだ時に感じる舌に残る甘さを広めることができないかと考えていました。
人は誰でも、人生の岐路に立ち、過去・現在・未来を見つめ直す時があります。日本にも「ご縁」という言葉があるように、立ち上げメンバーのアーウェン、DY(ディーワイ)、DK(ディーケー)は、IT企業の同僚として出会いました。ある時、気の合う3人で人生設計について話していたところ、 順調な日常と気の合う仲間たち、なんの問題もない生活の中でふと感じる停滞感に、3人のくすぶっていた心の炎が燃えはじめ「同じ一日は二度とこない、後悔する前に始めてみよう!」と立ち上がることに。台湾人のお茶に対する価値観をデザインしたいというアーウェンの強い想いを実現すべく、3人は「心が動く」ことを大切に琅茶(ウルフティー)の活動を開始しました。
琅茶(ウルフティー/中国語ではランチャー)とネーミングした経緯を教えてください
琅茶(ウルフティー)の「琅」の字は、ティーセレクターである Arwen(アーウェン)の父の名前から取りました。 口の中でコロコロと転がすように台湾茶のおいしさを味わって欲しい、鼻歌を口ずさむように飲んでほしい、という思いを込めて「琅琅上口(ランランシャンコウ)」というサブネームもつけています。
多才多芸なアーウェンの父が、筆文字でブランドロゴを描きました。ターゲット層である若い人にも手に取ってもらえるよう、生き生きとした雰囲気を演出しています。微笑むオオカミの表情は、台湾茶を美味しく飲んで楽しんでいる人たちの顔をイメージしました。開いた口からのぞく3本の歯は、茶葉の取れる山の香りを少しでも味わってもらおうとデザインしました。
デザイナーチームの舞台裏について教えてください!
Arwen(アーウェン)、DY(ディーワイ)、DK(ディーケー)の3人は、それぞれの専門であるデザイン、マーケティング、エンジニアの役割を担っています。それはまるでパッケージにデザインされているトンガリ山の三角の峰のよう。各自の個性や分野は異なりますが、共通しているポイントは「自分からどんどん動いていく」姿勢です。アーウェンはビジュアルイメージとテキストを担当し、お茶の全体像をデザインしています。マーケティング担当のディーワイは、市場と商品とのバランスをとり、ビジネスを拡大するのが得意で、面倒な手続きや取引をこなしています。帰国子女であるディーケーは、さまざまな経歴の持ち主です。工学的な専門知識と並行して木工への興味もあり、ITやデジタル関連、そして物理的な頭脳を持つエンジニアです。
3人の作り上げる台湾茶の世界観を体験しに、ぬくもりのある小さな店先にぜひ来てみてください。日々の暮らしを彩るお茶、あなたの個性に合うお茶との出会いがきっとあるはずです。難しく考えなくて大丈夫。おいしいお茶を楽しめるチャンスがそこにはあります。
デザインを通してどんな想いを届けたいですか?
ドリンクスタンドのお茶やペットボトルのお茶が幅を利かせている今だからこそ、本当の台湾茶の味、体にも心にも優しいお茶の魅力を、世代を越えて多くの人に知っていただきたいです。誰と、どこで、どうやってお茶を飲むかを想像しながら、「より深く、より面白い台湾茶の体験」を、リラックスしながら楽しんでいただけたらうれしいです。
品質の高いお茶を育てるため、環境にも配慮して、パッケージに再生紙を使用したり、シンプルな包装をしたりするなど環境保護も心がけています。また、パッケージにはホットで飲む場合と冷茶で飲む場合のお茶の淹れ方を載せています。これは、初めて飲む方にもできるだけ美味しく台湾茶を飲んでいただきたいから。手描き風のオリジナルロゴや山のモチーフには、パッケージからは読みとけない「どんな味なんだろう…」という想像と、実際に口に含んだ時の「おいしい!」という驚きを演出する/サプライズの仕掛けが含まれています。
お茶を楽しむ仕掛けの一つとして携帯できる冷茶ポットや、各種ギフトボックス、セレクトされたお茶の詰め合わせなど、用途に合わせたユニークな商品の開発も続けています。海外からのニーズも増え、台湾国内とは違る視点で、お客さまの声を商品開発につなげていけたらと思っています。 お茶は生活の中でさりげなく、でも実はかなり大切な役割を担っている存在です。これから成長していくことが期待されていると思うととてもワクワクしています。
琅茶(ウルフティー)のデザインが持つ魅力を教えてください。
デザインは世界を変えることのできる力を秘めています。私たちにとってデザインは、私たちの人生に欠かせない、大切な課題です。私たちの持つ想いや届けたい情報をわかりやすくお客さまに届けるためのツールがデザインなので、常に挑戦し続ける必要があると考えています。琅茶(ウルフティー)の「より深くより面白い台湾茶の体験を届ける」というデザインコンセプトは、お茶、パッケージ、ウェブサイト、広報、スポンサーなど商品に関わるすべてと密接に絡み合っています。台湾茶の魅力を伝えるという枠組みを越えて、デザインの持つ力強さで世界をもっともっと良い方向に変えていきたいです。
10年後、どのようなブランドになっていたいですか?
台湾茶が今よりももっと身近な存在になるよう、国内外に美味しさと魅力を発信していきたいです。台湾茶の深くて趣のある文化を、楽しさを、より多くの人と共有できるよう、ブランドと私たち自身にも磨きをかけていきたいです。
ありがとうございました!
琅茶(ウルフティー)は台北・松山エリアに実店舗を2店舗を構えるほか、Pinkoiでオンライン販売も行っています。
日本への海外発送にも対応していますよ。詳しくはこちらから
抄訳・テキスト:甲田 智恵
編集:別所 ゆかり
原文:琅茶 Wolf Tea:琅琅上口的好茶