あなたはご飯に行くとき、友達を誘う? それとも一人で簡単に済ませる?
生活の中では、誰かと一緒にいるのが良いことという雰囲気があって、一人でいるとさみしい人、つまらない人、暗い人という風に見られてしまいがち。だから一人の外食は(オシャレなレストランは特に)なんとなく避けてしまいますよね。
Source:驚喜製造 Surprise Lab.
台湾でも、大勢でワイワイと円卓を囲んでご飯を食べることが一般的。ですが近年若者の間ではそんな風習が少し変わってきているよう。そこで驚喜製造 Surprise Lab.というイベントチーム(過去に「無光晚餐(暗闇ディナー)」というイベントを開いたことも)が開いたのが、「おひとりさま」専用の『一人餐桌 table for ONE』というレストラン。さっそく編集部が取材に行ってきましたよ~。
おひとりさまのデート
レストランの外観は、黒い窓枠に白い壁、壁全体を使った大きな窓と、冒頭にある写真の通りいたってシンプル。店内の天井からは大きな布が垂れ下がっていて、表面には植物のシルエットが浮き上がっています。入口は少し隠れたところにあって、普通のレストランの作りとは違っていました。どうやら少し遊び心のある場所のようです。
▲ 入口は曲がり角を曲がった先。Date Yourself(ひとりデート)と書かれたネオンライトに向かって進むと、すぐに雰囲気のある小さな通路に出ます。
▲ 丸石が敷かれた小道を歩いていくと、光の方向に店内への入口が見えてきます。
受付に到着すると、まずはじめに食事の間に行われるゲームの説明があります。その後、今日の気分(何も考えずに過ごしたい、いろいろ観察したい、コミュニケーションをとりたい)を聞かれ、この答えで案内される席が決まります。店名にあるように、ここはすべての席が一人席。もし友達と一緒に来ても席は別々になるので、お互いが見えない位置になることも!
Source:驚喜製造 Surprise Lab.
編集が案内されたのは、半分が壁、半分が窓に面した席。壁を見ながらぼーっとしたり、ときどき窓の外を行き交う人を見たりしながら過ごせそう。そんな風に思っていると、急に目の前の白い壁に秘密が隠されていることに気づきました。なんとそこには、肉眼ではなかなか気づかないような白いカードが隠されていたんです。手に取ってみると、白いインクでうっすらと秘密の言葉が書かれていました。(内容は秘密です~来てみてのお楽しみ!)
食べたり、遊んだり
▲ 料理ごとにミニゲームが用意されています。ゲームの中では、普段はなかなか気づかない人生の真理に気づくことも。
このレストランにはある1つの規則があります。それは携帯を機内モードにするか、お店が用意した布袋の中に携帯を入れること。そんな「外との連絡を一時的に断った」状態で、一人だけの90分間を、あなたはどんな風に過ごしますか?
友達もいないし、携帯もないなんて、やることがなくなりそう…なんて心配はご無用。レストランがゲームを用意してくれているんですよ~。「一人の5つのコンセプト」から始まり、どの料理にも1つずつコミュニケーションゲームがついてきます。この90分間のコースの中で、食材の味をゆっくりと堪能しながら、自分自身と向き合うことができるようになっているんです。
▲ 今日使うのはナイフ、フォーク、スプーンと…ん? もう1つは何?
グルメレポは苦手なので、それぞれの料理の感想は省きますね(許してっ)。
でもデザートはとっても珍しいものだったんですよ~。それまでの料理で感覚が研ぎ澄まされた後に、レストランが用意してくれたのは「DIYデザート」! 自分のセンスや好みで、世界に1つだけの食感や形のデザートを作ります。もちろん食べ方だって自由。これまでに体験したことのないものでした。
▲ つけて食べてもそのまま食べてもよし、細かく切って上にかけて食べてもよし。どう食べるかは自分次第!
新体験を自分で作る
「このレストランには、正解も間違いもない。」
ここで過ごす間の「ストーリー」は皆それぞれ違います。休んだり、ぼーっとしたり、店の中を探検してみたり、他の人と話してみたり。ここには天井、床、そしてお手洗いにまで、いろいろなところにサプライズが隠されています。
Source:驚喜製造 Surprise Lab.
すぐ側にあったノートをペラペラとめくると、前の人が残したなぐり書きのメモや、探検のヒントが載っていました。そのヒントを頼りにお手洗いにある棚を開けてみると、古いカセットプレーヤーを発見。再生してみると、2分間のストーリーが流れてきました。ここで今の自分の気持ちを録音してみるのもいいかも知れませんね。
2017年9月29日の開店から今まで、多くの人がここに自分だけのストーリーを残してきました。
ある女の子は、ここで過ごした2時間の間に、4年ぶりにひらめいた詩をテーブルのナプキンに書き残しました。ある男の子は食事中に、「1杯おごっていい?」と書いた1枚のメモを自分を後ろにいた女の子に渡しました。またある人は、静かに座って料理を味わい、その夜を過ごしました。レストランの中に隠されていたサプライズがきっかけで、新しい旅をスタートさせた人もいます。
一人の時間を贅沢に味わうために…
あなただけのストーリーはどんなものになるでしょう。
「おひとりさま」と聞くと、少しさみしいイメージが浮かんでしまいがちですが、一人だからこそ自分自身とゆっくり向き合えたり、普段気に留めていなかったことにふっと気づけたりできるもの。台湾ひとり旅のときにふらっと立ち寄って、旅の間に感じたことをお店で書きとめてみるのもいいかもしれません。周りの目を気にせずに一人の時間を存分に味わいたくなったら、ぜひ一度レストランを訪れてみてくださいね。
◆お店情報◆
『table for ONE 一人餐桌』
住所:台北市松山區健康路 9 號
営業日:不定休
営業時間:Lunch 12:00-14:00┃Dinner 18:00-22:30
ウェブサイト:https://www.surpriselab.com.tw/tableforone/
原文:【台北美食筆記】《一人餐桌 table for ONE》的美食新體驗
抄訳・テキスト:今井 里沙
編集:東 洋子