一足ごとにテーマがあり、うっとりするほど美しい台湾の+10(テン・モア)の靴下たち。その豊かな表情と履き心地の良さで、台湾国内にとどまらず海外のファンをも魅了しています。色とりどりの靴下に込められた想いと物語について、創設者でデザイナーの陳小爵さんと許芝瑞さんのおふたりにお話を伺いました。
+10(テン・モア) のコンセプトについて教えてください。
今日はもう10ブロック先まで行ってみよう、もう10ページ読んでみよう、もう10分長く眠ろう、すてきな +10を毎日の暮らしに。
シンプル、快適、ユーモア。嬉しい日にも悲しい日にも、大切な毎日に寄り添いたい。いつも遠くを見据えて、遠くまで歩いて行こうと自分に言い聞かせています。毎日の暮らしに細やかに気を配れば、私たちの世界はきっともっと広がるはず。そんな想いから、美しいイマジネーションと質の良さを毎日の暮らしに欠かせないアイテムである靴下に取り入れました。+10(テン・モア)の靴下は、自然の織りなす風景や大自然の営み、暮らしの中の細やかな観察からインスピレーションを受けて創られています。
どのような経緯でデザインの道に進まれたのでしょうか?
陳:小学校の美術の授業をきっかけに、どんな作品であっても自由に創作していいんだなと思うようになりました。本格的にデザインの勉強を始めたのは、大学で舞台美術デザインを学んでからです。
許:私は自分の手でモノをつくり、描くことが好きなのですが、デザインは素晴らしい問題解決の方法であるということをデザインの勉強を始めて気がつきました。
舞台美術デザインを学んだことは、 +10 (テン・モア)のデザインにも影響していますか?
舞台美術デザインの重要なコンセプトのひとつに、全てのデザインはその舞台を完璧にするために存在するという考え方があります。私たちにとって靴下のデザインとは、単に絵柄や色を選択するだけではありません。いつも履き心地がどうかということまで考えています。なぜなら、快適さと品質こそが靴下にとっては最も大切なことだからです。履き心地が良いという条件をクリアした上で、もっと素敵な見た目にすることはできないか?靴下丈やゴム口の作り方、織り方、ネーミングなど、一足の靴下の細部にまでこだわってデザインのコンセプトを決めています。靴下は確かに商品ではあるのですが、そこにはたくさんの物語が込められているんです。
良いデザインとは、どんなデザインだと思いますか?
暮らしの中に自然に溶け込んで、想像力を駆使していること。実用的で見た目の良さと耐久性も兼ね備えていて、でもいつもちょっとだけ冒険しているような遊び心のあるデザインです。
+10 (テン・モア)の靴下は、多様な素材の組み合わせが生み出す豊かな表情が特徴的ですよね。
どうすれば完璧なデザインが表現できるか、そして履き心地が良くなるか、ということを考えて素材選びをしています。例えば、森の鉄道1と1/4ソックスでは、ナイロン素材と透明な線を組み合わせることで、幾重にも重なり合う森の木々を表現しました。
最後に、デザインの道を志す皆さんにメッセージをお願いします。
好奇心と自分で考えるチカラを持ち続けましょう。遠回りすることを恐れないで。道の途中には、たくさんの美しい風景が待っていますよ。
テキスト・編集:岸本洋子
2021年7月12日 Pinkoi編集部 更新
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